神奈川県の公立高校の入試では、「調査書の評定」「学力検査」「面接」の3つの合計点数で合否が決まります。初めての方には分かりにくい計算方法ですので、解説を行います。
調査書の評定
神奈川県の高校入試では、評定に「2年生の学年末の成績」と「3年生の2学期までの成績」を使います。東京都立高や私立高校では、評定と言えば3年生の成績だけですが、2年生の成績が入るという点が神奈川県の特徴です。
- 1学年分は45点満点
- 教科:国語・数学・理科・社会・英語・音楽 ・美術・体育・技家の9教科
5段階評価なので\(学年ごとの合計=5\times9教科=45点満点\)
- 3年の成績は2倍にして足す
- \(評定=2年生の成績+(3年生の成績\times2)\)
(135点満点)
- 100点満点に直す
- \(評定=2年生の成績+(3年生の成績\times2)\times\frac{100}{135}・・・A値\)
例
2年生では評定が低く 3年生で がんばった青葉さんと、3年生で下がってしまった若葉さんの例で見てみましょう。2人とも 普通に2年生と3年生の合計すると72ですが…
青葉さん | 若葉さん | |
---|---|---|
2年 | 34 | 38 |
3年 | 38 | 34 |
合計 | \(34+38\times2\) \(=110\) |
\(38+34\times2\) \(=106\) |
A値 | \(110\times\frac{100}{135}\) \(=81.48\) |
\(106\times\frac{100}{135}\) \(=78.52\) |
3年生でがんばった青葉さんのほうが、A値は高くなります。3年生の評定に比重が置かれているのが分かりますね。
学力検査
- 入試は5教科
- 教科:国語・数学・理科・社会・英語
各100点満点なので\(合計=100\times5教科=500点満点\)
- 100点満点に直す
- \(学力検査=5教科の合計点\times\frac{100}{500}・・・B値\)
例
先程の青葉さんと若葉さんの例で見てみましょう。若葉さんは、評定の分で足りない分を取り戻そうとがんばりました。
青葉さん | 若葉さん | |
---|---|---|
5教科合計 | 330 | 350 |
B値 | \(330\times\frac{100}{500}\) \(=66\) |
\(350\times\frac{100}{500}\) \(=70\) |
面接
- それぞれの観点を3~9段階で点数化します。
-
-
面接における各校共通の評価の観点
- 入学希望の理由
- 中学校での教科等に対する学習意欲
- 中学3年間での教科等以外の活動に対する意欲
-
学校ごとの観点
- 高校での教科・科目等に対する学習意欲
- 高校での教科・科目等以外の活動に対する意欲
- 学校・学科等の特色の理解
- 将来の展望
- 面接の態度 など
- 100点満点に直す
- たとえば、観点が6項目で9点満点の場合
\(面接=6項目の合計点\times\frac{100}{54}・・・C値\)
例
またまた 青葉さんと若葉さんの例で見てみましょう。青葉さんは、しっかりと準備をしてきました。
青葉さん | 若葉さん | |
---|---|---|
6項目合計 | 48 | 40 |
C値 | \(48\times\frac{100}{54}\) \(=88.89\) |
\(44\times\frac{100}{54}\) \(=81.49\) |
合計点数
- A値・B値・C値に各学校の比率をかけて足します。
- (例) 評定:学力検査:面接=4:4:2 の場合
\(A値\times4+B値\times4+C値\times2\)
以上で1000点満点の点数を出します。
例
青葉さんと若葉さんを比率の違う学校で見てみましょう。
比率 | 青葉さん | 若葉さん | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
A値 | B値 | C値 | A値 | B値 | C値 | |
81.48 | 66 | 88.89 | 78.52 | 70 | 81.49 | |
4:4:2 |
\(81.48\times4+66\times4+88.89\times2\) \(=767.7\) |
\(78.52\times4+40\times4+81.49\times2\) \(=757.06\) |
||||
2:6:2 |
\(81.48\times2+66\times6+88.89\times2\) \(=736.74\) |
\(78.52\times2+40\times6+81.49\times2\) \(=740.02\) |
4:4:2の学校では、評定と面接が良かった青葉さんのほうが点が高いですね。一方 2:6:2の学校では 学力検査の点数が高かった若葉さんのほうが有利です。学力検査の比重が高いということは、本番の逆転の可能性が高くなります。逆に、当日失敗してしまうと大きく失点してしまうため、入試に備えた安定した学力が必要です。それぞれの学校の比率によって、有利・不利がありますので 受験校の比率をよく研究しておくことが大事です。
評定重視型(5:3:2など)
荏田・旭・白山の各高校で採用されています。評定が5割を占めるので、2年生から評定が大きく影響します。
中庸型(4:4:2)
川和・市ヶ尾・元石川など 多くの高校で採用されています。
学力検査重視型(2:6:2など)
横浜翠嵐などで採用され、さらに特色検査が課せられる学校があります。学力検査が重視されるため、模擬テストで常に高得点を取っている必要があります。
神奈川県立高校 受験のまとめ
- 評定は2年生の後期から入るので、テストの点はもちろん 提出物などで失点のないように!
- 学校ごとの比率を良く調べ、入試の目標点を立てる!
- 面接も点数としては大きな部分を占めるので、受験校については早めに下調べを!
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